舞妓さんストーリー

お店だし

いよいよ憧れの だらりの帯 をしめれる日、
舞妓としてデビューする日のことです。

「だいかん」とよばれる置屋さんで代々受け継がれてきた鼈甲の大きな簪をつけさせてもらい、銀色に光る短冊状の簪を、この日ばかりは左右両側につけ、黒紋付に三本の襟足、お店出しの時にしか付けることのない「みおくり」といわれる金銀のはねを髷の後ろに一対つけられます。

そしてそれぞれの花街のお師匠さんをはじめ、お茶屋さんにご挨拶回りがはじまります。男衆さん、ひいてもらうお姉さん、お世話役の方と…
当日に付き添ってもらう方は、花街によって違います。

置屋さんには、所狭しとお祝いの大きな目録といわれる宝船や鯛など縁起物のかかれた紅白の紙が貼られています。その前で、おかあさんの送り出す火打ち石で挨拶回りの出発です。そしてこの日は、ひいてもらうお姉さん芸妓、大きなお姉さん芸妓、お姉さん舞妓さん達と、固めの盃をかわす日でもあるのです。

それは、お姉さんの筋の一員として認めてもらう大切な儀式。
置屋さんの門を叩いた日からの待ちに待った自分の舞妓さん姿…
それは、舞妓としてのはじまりの日でもあるのです。

新米舞妓さん おしろい頑張る

お座敷にでるためには、お支度から試練の連続です。
おしろいというのは水化粧で、一度色をのせてしまうと、
失敗したな、と思っても、クレンジングで修正というわけにはいきません。

お化粧がうまくいかない…と焦っても、
時間が来ればお座敷に出かけないといけません。
紅のひき方も、眉のひき方も、安定せずにまちまちで、
自分でも、周りの人も驚くほど(笑)、毎日顔が違うんだそうです。

そのような日々、怒られたり、なだめられたりと、失敗を繰り返しながらも…
両紅をさしてもよいとお許しのでる一年が経つ頃には、ちらほらとお店だしされたばかりの後輩舞妓ちゃんが誕生されるのです。

新米舞妓さん お座敷へ頑張る

「割れしのぶ」と呼ばれる髪の結い方に、赤い半襟。
お化粧では下紅だけを入れた姿が、お店だしをしてから一年未満の舞妓さんの姿です。
いよいよお座敷で、プロとしてのお仕事がはじまりです。

まずは、置屋さんからお座敷に向かうとき、
同じお部屋のお姉さん方と一緒であれば、一番後ろを歩き、
お茶屋さんの暖簾をくぐる時や戸をあける時には、一番に先回りして皆が通りやすいように気づかわないといけません。
お座敷では、お姉さん方が用事で立たれる前に自分が先に動けるように…

お世話になるお茶屋さん、一緒にお座敷にあがらせてもらうお姉さん方に神経を張りめぐらし、
お客様が何を必要とされているのか全神経を張りめぐらし…緊張の日々が続きます。

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