いろいろな想いを胸に、置屋のおかあさん、お茶屋さんの女将さん、お世話になったご贔屓のお客様、お姉さん方に、
先笄の元結にはさみを入れてもらい、舞妓さん最後の日を迎えるのです。
仕込みさん時代からの苦労の日々、
何度も立ちどまってしまった舞妓さん時代、
毎日、苦労して高枕で寝ていた日々…
もう高枕を使うことも無く、そして、これから踏み出す芸妓さんへの一歩。
「この断髪式に、舞妓さんの頬をつたう一筋の涙ほど重いものはない…。」と、
ある置屋のおかあさんが話してくださいました。
我が娘として愛情をもって何人もの舞妓さんを育てられているからこその、おかあさんのひと言です。
ある少女が花街の門をたたき、修行をはじめ舞妓になり、芸妓に成長していく姿…
決して、ひとりの少女の物語ではなく、
花街に生きる、ある家族の物語なのだと、ご理解いただけるでしょうか…。
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