月刊・京の舞妓さん 11月号【2】

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舞妓変身処“大みの” ~120年の歴史ある元お茶屋の屋舎で舞妓さんに変身!【1】~

舞妓変身

 

変身願望―『女』に生まれたなら、誰しもみな本能的に持っている欲望ではないだろうか?

 

言ってみれば、普段のメイクやファッションだって、立派な変身のひとつである。たとえそれが通勤使用であっても、“素”の自分に何らかの色や形を付け加えて装飾しているのだし、デートやパーティというならなおさら、“自分をより良く魅せる”ために、鏡に向かってあれこれと手を尽くし、たとえ傍からみればさして代わり映えしなくとも、ああでもないこうでもないと奮闘し、思い悩んだりする。これは、恥ずかしいことでも何でもなく、まっとうな「女心」の成せるわざだと私は思う。

 

女というのはハタチ、三十、四十、六十、八十…生きているかぎり、いくつになっても常に美しくありたいのであり、またその気持ちがあるからこそ、女で居続けることができるのである。

 

今回は、そんな女性のために、“いつもとはちょっと違う変身が叶えられる夢のような場所”をご紹介させていただきたい。

 

本物のお衣装、お化粧、小物… “舞妓ファッション”への徹底したこだわり

 

北野八幡宮を左手に道なりをまっすぐ歩いていくと、曲がり角には焼きもちで有名な「天神堂」が見えてくる。右折すると、そこは上七軒のお茶屋が立ち並ぶなんとも優美な石畳の通り…。その通りの中ほどあたりの細長い小道をさらに右へと曲がり、歌舞練場、西方尼寺(さいほうにじ)を通り越し、少し奥へ行くと、その店、『舞妓変身処 大みの(だいみの)』がある。

 

大みの

『大みの』の外観。屋根の上には、魔除けの神さま“鍾馗(しょうき)さん”の小さな像が祀られている(右上)

 

「おいでやす。どうぞ、どうぞ、おあがりください」

秋風にふわっと揺れる“大美乃”の暖簾をくぐると、おかみの毛利紀子さんが迎えてくださった。玄関入ってすぐのところは天井が吹き抜けになっていて、天窓からは降り注ぐように燦々と光が差し込んでいる。

狭めの間口、奥行きの深い造り。「一体、どこまで部屋が続いているの?」と思わず声を上げたくなるほど、『大みの』は町家の趣を忠実に残した“うなぎの寝床”そのものだった。

この店は、元々、お茶屋さんだった。明治から平成初期にかけて栄えてきたが、八年ほど前に二代目の女将さんが亡くなられたあと、店を一旦仕舞うことになった。時は過ぎ、昨年9月。築120年余りの由緒ある家屋はそのままの形で残し、舞妓変身処として新たに店を開いたのである。

 

装飾品装飾品

装飾品装飾品

  変身する本人の付き添い人は、待合室へ…。お茶屋『大みの』が栄えた当時の芸舞妓さんの装飾品の展示が楽しめる

 

 「うちはお茶屋でしたので、他からいただいたもの、つまり、本物の舞妓さんのお衣装が揃ってるんです。着付けですか?舞妓さんに着さしてもらう時と同じやり方でやらしてもろてますし、だらりの帯も作り付けのものは使いません。一から結ばしてもろてます」

 

お引きずりの着物たち

どれを選んだらいいのやら…。女心をくすぐるみごとなお引きずりの着物たち

『大みの』では、舞妓さんのほか、芸妓さんに変身することもできるが、毛利さんのおっしゃるとおり、すべての“変身”に使われるお衣装は、かつて、この花街で活躍されてきた芸舞妓さんが実際にお召しになられていたものだ。

お化粧も舞妓さんが普段使われている製品で、より“本物”に近いお化粧を施してもらえる…と聞いて、ワクワク感はさらに高まった。といっても、今回、変身するのはモデルさんであって、むろん私ではない。

「では、何をそんなにときめいてるの?」と思われるかもしれないが、事前に拝見した写真の中で微笑むその女性があまりにも可愛らしかったので、「素の状態でこんなにも美しいのに、一体全体、どんな風に変身してしまうのだろう?」と期待に胸が躍ったのだ。

 

 

 

 

 

 





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